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ダゲレオタイプの女 [映画]

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 少し前ですが、黒沢清監督の初のフランス映画『ダゲレオタイプの女』を見ました。

 世界最古の写真術ダゲレオタイプ(銀板写真)に取り憑かれた写真家 そのモデルとして古い館に囚われ生きる娘マリー そしてマリーを愛する助手の青年ジャンの物語 

 マリーの儚い美しさ 不安に揺れるまなざし 古典的な青いドレスをまとった立ち姿 まさに銀板写真のごとく唯一無二の存在として心に焼き付けられました。 マリーを演じたコンスタンス・ルソーは、日本公開の映画は一作のみという日本ではなじみの薄い女優さんですが、フランス本国では映画、ドラマなど多数出ている実力派だそうです。 これからの活躍が大いに期待されますね。

 物語は日本の牡丹灯篭を思わせるゴシックロマンス。 それでいながら、フランスのモダンな犯罪ミステリーが違和感なく共存するという不思議な映画でした。 そして、ホラーの黒沢監督ですから、 古い屋敷の内部、温室等々、ただならぬ雰囲気にはぞっとしました。 いわゆるスクリーミングなものではなく、じわじわくる静かな恐怖 というところがとても引き込まれました。 ラストシーン、マリーをうしなった青年ジャンの哀しみは切なく胸を打ちました。 こういう哀しいホラーって好きなんですよ、『アザース』とか『ヴィレッジ』とか。

 その後少し黒澤監督祭となり、『クリーピー』を見ましたが、心理劇として背筋が寒くなるものの、全体的にグロい描写が多くてあまり好みには合いませんでした。 香川照之が思いのままに人の心理を繰るモンスター的犯人の役で出ていて、彼の演技は素晴らしかったのですが・・・

 ダゲレオタイプ(銀板写真)についても関心が高まってきたので、関連の本を色々読んでみました。


写真のはじまり物語―ダゲレオ・アンブロ・ティンタイプ

写真のはじまり物語―ダゲレオ・アンブロ・ティンタイプ

  • 作者: 安友 志乃
  • 出版社/メーカー: 雷鳥社
  • 発売日: 2009/01
  • メディア: 単行本


 初期の写真技法について、図版やイラストをまじえて物語風に描いているとても読みやすいガイドブックです。 当時の一般人の写真についての感じ方、ファッションや文化についても知ることが出来ます。 ダゲレオタイプの貴重な写真図版も多数見られるのは嬉しいですが、惜しむらくは図版が小さめな点でしょうか。 


ダゲレオタイピスト―銀板写真師

ダゲレオタイピスト―銀板写真師

  • 作者: 鳩山 郁子
  • 出版社/メーカー: 青林工藝舎
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: コミック



 『ゆきしろ紅薔薇』等、以前から注目していた鳩山郁子さんのコミックです。 湖でおぼれて亡くなった幼い少年の兄とダゲレオタイピスト=銀板写真師の愛と幻想の物語です。 少年の魂を定着させた銀板写真が150年の眠りから蘇るくだりは思わず肌が粟立つほど印象的でした。 銀板写真の現像法など技法的な描写も詳しくて、物語としても深くお勧めです。

 今度機会があったら、実物の銀板写真も是非見てみたいです。

 読んでくださりありがとうございます。

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イノセントガーデン [映画]

 このところの湿気と暑さにすっかりやられて、またしても間が開いてしまいました><

 そんなわけで、『イノセントガーデン』、実は既に2週間以上前、監督(パク・チャヌク)、主演女優(ミア・ワシコウスカ)と、どちらもかなりお気に入りで、公開されてすぐ見てきたのですが、ことのほか絵を描くのが手間取ってしまったため、ちょっと遅れての感想です。

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 とあるアメリカの田舎町、丘の上に立つ深い森のような広大な邸宅が舞台のミステリー。 18歳の誕生日を迎えたインディアは、最愛の父を不慮の事故で失うが、 葬儀の日、父の面影を宿す叔父のチャールズの出現によって、彼女の内側に今までにない変化の兆しがあらわれる。 折りしも彼女の周囲の人々が次々と行方不明になる不可思議な事件が起きていた・・・

 恐ろしいのだけどエレガント、残酷だけど官能的で美しい映画でした! 

 靴、鍵、蜘蛛、卵、鳥の剥製、グランドピアノ・・・さまざまな隠喩的小物がちりばめられているところがまた不思議な寓話のようで、ちょうど『アリス・イン・ワンダーランド』ミア・ワシコウスカが主役というのもあって、閉じられた世界の中の彼女が「黒いアリス」のように見えました。 今まで明るい髪色しか見たことのなかった彼女の黒髪はそれだけですごく新鮮で美しかったです! 
 
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 母親役には二コール・キッドマンというゴージャスさ☆ この冒頭の『ある貴婦人の肖像』を思わせる喪服姿の美しかったこと!

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 そして何より、怪しげで妖しげな叔父チャールズを演じたマシュー・グードが一番の掘り出し物でした! ほとんど人間とは思えない異様な存在感が凄くて、一瞬たりとも目が離せない。 エレガントで獰猛で美しい野獣のような危険な男・・・これは、インディアならずとも惹かれてしまいますよね~

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 パク・チャヌク監督の映画ですから、当然いろいろなエロポイントがあって、あのシャワーシーンとか首絞めシーンとか・・・小さな蜘蛛がインディアの体を這い回るシーンまでも、おお!と興奮(笑)  しかし、やはりこの叔父姪の連弾シーンが一番の萌えましたね~! 叔父と姪の関係でこれは・・・禁断過ぎるでしょう~><

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 また、あまり仲がよろしくない母娘(おやこ)と言っても、インディアが母親の髪を梳かすシーンは美しく、なかなか目の保養でした♪  

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 しかし、やっぱり自分の理解を超えた存在である娘に、普通に愛情をもつのは難しいようで、「あの子がたうち苦しむ姿をみてみたい」とまで言わせてしまう哀しさ。 「母」であるより「女」である彼女は、ちょっと残酷童話の継母のようでした。 

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 とにかく、繊細で鋭敏な感覚をもてあまして、いつも眉間にシワを寄せて内にこもりがちなインディアでしたが、それが巣立つ前の少女たるゆえんだったのかと思います。 その彼女が最後には悠然と翼を広げて大空を羽ばたくように見事に大人となった姿には、しびれるような官能と感動を同時に味わいました。 

 ファーストシーン、そしてラストシーンの草原にたたずみスカートの裾をなびかせて微笑む少女の、何て美しくカッコよかったこと>< (ココのアングルも最高です!)


 この映画、仲のいい叔父が殺人犯?というところが、ヒッチコックの『疑惑の影』がベースになっているそうです。 残念ながら私は見たことがなくて、代わりに原題の『STOKER(ストーカー)』と言うところからも、この映画は一種の吸血鬼譚、もしくは人狼伝説のように見えました。 そんなゴシックの香りがするところも、ツボにハマった素敵な映画だったと思います。

 他にも、『羊たちの沈黙』のレクター教授とクラリス(彼女も黒髪でしたね)の関係を思い出したり、幼い頃から姪っ子に目をつけて自分のパートナーにというところが『源氏物語』を思い出したり・・・いや~本当いろいろと連想できて楽しかったです♪

 そう、ヒッチコックと言えば、パク・チャヌク監督は『めまい』がきっかけで映画監督になる決心をしたとのこと。 うわ~私もヒッチコックでは『めまい』が一番という人だったので、いっそう親近感が沸いてきました。 元々大好きだった『オールドボーイ』を始めとする復讐三部作だけでなく、他にも色々見てみたくなりました☆


渇き [DVD]

渇き [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: DVD



 というわけで、早速見たパク監督の吸血鬼もの~♪

 エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』に触発されて作ったそうです。 敬虔な青年神父が人体実験の結果吸血鬼になってしまい、美しい人妻と不倫の恋をするというお話。 シリアスな恋愛物ですが、スプラッタでグロテスクでコミカルな部分もあり、とても監督らしい刺激的な吸血鬼ものに仕上がっています。 ちなみに、この映画でも小物の靴が効いていて、哀しいラストを素敵に盛り上げていました。 監督のそんなロマンティックかつフェチぽいところ、大好きです~笑


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嵐が丘 [映画]

 また体調その他落ち着かなくて、久々の更新になってしまいました。

 実は、この4月から一念発起して横浜の絵の教室に再び通い始めたんですよ。 ところが、6年のブランクが大きかったのか、ずずーんと疲れが出てしまって、やら肋骨やら、余り普段痛まないところがダメージを受けて、再び整形外科のお世話になり湿布を貼ったり色々大変でした。 まあ、骨に異常がなかったのは不幸中の幸いでしたが、あの程度の事でこんなに落ち込むなんて、やっぱり年齢のせいもあるかもなぁなんて、本当、歳はとりたくないものとつくづく思いました^^;

 さて、少し前に見た映画『嵐が丘』ですが、これがなかなかよかったので折角なので記念に少し絵を描いて感想を添えてみました。

 1993年製作(?)この映画、存在は公開当時から知っていたのですが、ずっと見ていなかったのですよ。 キャサリンジュリエット・ビノシュというのは聞いていて、ビノシュのは結構好きな女優さんだったのですが、『嵐が丘』に何故フランス人?と当時はちょっと引いてしまったんですね。

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 原作を読んで興味がわいてきた今見てみると、ビノシュのキャサリンは自由奔放で我儘で、気が強いかと思うともろく繊細な面もあり、欠点だらけなのに人をひきつけずにはいられない生き生きとした魅力にあふれていて素敵でした。 ビノシュは笑うと少女のように可愛く親しみやすい感じがするのに、時に女神のような近寄りがたさも感じさせて、独特の魅力を持っているんですよね。 幽霊となってまでヒースクリフの心に生き続ける「永遠の女性」キャサリン役はまさにうってつけだったと思います。 前半のクライマックス「ヒースクリフは私なの」と言う彼女の身を切られるほど激しい愛の表現も切なくて胸が詰まりました。

 荒野でキャサリンとヒースクリフが身を寄せ合って一本の木と心を通わせる場面も霊的で、彼らがいかに魂の根源で結びついているかを感じさせて心が震えました。 ここは本当この映画の肝とも言えますが、キャサリンの神秘的な黒い目とヒースクリフのかなしいまでに澄んだ青い目が、嵐が丘の空と大地を思わせて、その美しさも心に残っています。

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 レイフ・ファインズヒースクリフは本当ビノシュに負けないほど存在感があって素晴らしかったです。 先日入手したパンフレットにはラルフ・ファインズと書かれていて、映画俳優としてはまだ駆け出しの頃だったのですね。 野生的な風貌にキラキラ輝く目が澄み切っていて、孤児として拾われてきた孤独とキャサリンにたいする愛の純粋さが痛いほど感じらました。 彼は、周りの人々に「悪魔」と呼ばれて蔑まれていましたが、異世界から来た魔王の落胤のように不可思議な存在だけど高貴な雰囲気も漂っているところも原作のイメージそのままだったと思います。  

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 物語の最後、復讐鬼のようだった彼も、キャサリンの墓を掘り起こして生前と変わらぬ姿を目にしてから、この世ならぬものに囚われるようになり、キャサリンの娘と義理の息子のヘアトンとの間に芽生えた愛も素直に受け入れるように変わっていきます。 キャサリンの霊に導かれて迎えた死も、傍目には悲惨に見えても、なんと静かで幸福そうだったことか・・・ラストも原作そのまま深い感動が味わえました。 

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 「馬鹿ね。私は必ずここに帰ってくるわ」

 物語半ばで、不安そうなヒースクリフにかけられたキャサリンのこの慰めの言葉を思い出すと、彼女はその言葉どおり、死んでしまった後も彼の元に帰ってきたんだと思うと切なさに胸が詰まります。

 
 
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 それにしても、二代にもわたる長い大河的な物語を、ややコンパクトではありますが、よく2時間弱に上手くまとめていたと思います。 視覚的にも、物語の象徴でもあるアーンショウ家の館もセットだそうですが、そうとは思えないほど堅固で雰囲気が出ているところも感心しました。 それに風景も荒々しく壮大かつ素朴で美しく、まるでヨークシャーの大地の息吹が聞こえてくるかのようでした。 『嵐が丘』は、まさにこの自然が生んだ物語なんですね。

 そしてもうひとつ、この映画の素晴らしいところは、何と言っても坂本龍一の音楽ですね。 笛の音を基調とした哀愁を帯びた音色は物語の雰囲気と見事にマッチしていました。 

 最後に隠された見所としては、冒頭と最後に登場する、この物語の語り部でもあるエミリー・ブロンテが、アイルランドの有名な歌手シンニード・オコナーが演じているところでしょう。 打ち捨てられ廃墟と化した館を真っ青なマントを羽織って訪ねるエミリーのたたずまいの美しさ、そして、その深い声の響きは本当『嵐が丘』の魂そのもののようでした。


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ブロンテ姉妹 [映画]

 今年は花粉の量が特別多いからか、それとも歳のせいなんでしょうかね~例年と同じ薬を飲んでいてもだるかったり眠かったりが何時も以上に酷くて・・・(涙) その上、PCの具合までおかしくなって、気がつくと随分ご無沙汰していました。

 おかげさまで、最近薬を就寝前1錠に減らすなど工夫して、ようやく症状がマシになってきました。 これからはもう、昼過ぎにドラマの録画や映画を見ても途中でグーグー寝てしまうことはないでしょう(笑) PCのほうも、とにかくメカに弱いので相方に頼って、先週末正常な状態に戻りホッと一息ついたところです。

 さて前置きはこれくらいにして、少し前の話になりますが、『王妃マルゴ』以来アジャーニ熱が高まって『アデルの恋の物語』を始めとしていくつか映画を見ていました。 この『ブロンテ姉妹』も、去年偶然イマジカで放映した映画を録りためていたをこの機会にと見てみました。

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 『ブロンテ姉妹』と言いながら、フランス映画なんですよね~この映画。

 登場人物たちが皆フランス語を話すというところは少し違和感でしたが、姉妹の故郷、イングランド北部ハワースの荒涼とした風景を背景として、彼女らの生涯と日常を淡々と描いているところは雰囲気がよく出ていてなかなか味わい深い映画でした。 そう、淡々として静かな展開なだけにかえって彼女らの創作の源である情念のようなものがじわじわ感じられたんです。 

 お目当てのアジャーニエミリー役でした。 病弱で他の姉妹以上に田舎の家に閉じこもりがちで、でも、内に激しい情熱を秘めていて、男装して荒野を歩き回る姿は、まさに『嵐が丘』のヒースクリフかキャサリンかと言う感じ。 アジャーニは『アデルの恋の物語』のときも男装シーンがありましたからね。 強い目線など本来中性的な特徴をもっているので本当適役と思いました。

 花を摘むエミリーに「花は嫌い。すぐに枯れるから」「でもヒイラギは好き。永遠の友情の証よ」と妹の髪にヒイラギの葉を飾るところが印象に残っています。 それから、父パトリックに銃の手ほどきをされるところも一瞬ですが、強く心に残りました。

 
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 長女のシャーロットマリー・フランス・ピジェ。 古典的な雰囲気のフランス美人と思ったら、経歴を調べてみて『ココ・シャネル』の女優さんとわかり懐かしさに浸りました。 実はこの映画、シャネルの恋人役のルトガー・ハウアー目当てで昔映画館まで見に行ったんですよ。 話の筋はすっかり忘れましたが、ルトさんのお茶目さとシャネルの美しさは記憶に残っていました。

 シャーロットは、留学したベルギーの学校の教授に報われない片想いをして胸を焦がすシーンがあって、なるほどこの体験が『ジェーンエア』に生かされたんだな~と思ったりしました。 シャーロットは、次々と病死していった兄弟の中では、一番長く生きていたので(と言っても彼女も最初の妊娠時に産褥熱で若死にしていますが)、物語全体はほとんど彼女の視点で描かれていました。 しっとり落ち着いた大人の雰囲気の彼女がベースというところもまたよかったと思います。

 
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 そして末っ子のアンイザベル・ユペール。 『ボヴァリー夫人』『8人の女たち』の彼女もこの映画公開の頃は若かったんですね~ 彼女もラファエロ前派の絵に出てきそうな雰囲気がある顔立ちで素敵でした。


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 ブロンテ家のただひとりの男子だったブランウェルは『王妃マルゴ』でマルゴの下の兄のアンリ役だったパルカル・グレゴリーが演じていて、『マルゴ』では鼻持ちならない傲慢な貴公子だったのがひ弱な文学青年にガラッとイメチェンしていたのには驚きました。 

 このブランウェルと年上のロビンソン夫人との身分違いの恋愛は、静かで余り起伏のない物語のなかで一番ドラマチックな出来事でした。

 彼は、夫人との恋に破れたショックから、酒とアヘンに溺れる自堕落な日々をおくるようになり、芸術家としての才能を枯らしてついには死に至ります。 その悲劇は、ブランウェル作の有名な三姉妹の肖像画によくあらわれていて、映画の冒頭、晴れ晴れしく披露された四人兄弟の絵姿が、後半に、ブランウェルの部分だけ彼自身の手で消されてしまいました。 才能あふれる姉妹たちの間でただひとり芸術家として実りがなかったブランウェル・・・その悲劇的存在が姉妹たちにあたえた精神的影響はさぞ大きかったことだろうと感じさせました。

 この映画を見てから、ブロンテ姉妹の作品が無性に読みたくなって、まずは『ジェーン・エア』から読み始めて、今は『嵐が丘』の後半に入ったところです。 いや、実を言うと恥ずかしながら、これらの名作は断片的に知っているだけで、きちんと読むのはほとんど初めてなんですよ~^^; おい、ホントに英文科出身?と思いますが、それだけに、余計に素晴らしい~と浸りきっています。

 それから、去年公開された映画の『ジェーン・エア』も見ました。 こちらはマイケル・ファスペンダーミア・ワシコウスカという最近大好きな俳優さんが出演していたからと言うのもありますが、とても素敵な映画だったので、近々感想を是非描きたいと思っています。 何だか遅れてきた文学少女~と言う感じですが(笑)、よろしかったら、またお付き合いください^^


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王妃マルゴ [映画]

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 実はこの映画、公開当時(1994年)既に見ていましたが、つい最近、萩尾望都『王妃マルゴ』を読んでから無性に気になって、再度鑑賞してみました。

 いや~、こんなに素晴らしかったっけ!?と思うほど、情念渦巻く壮麗な歴史絵巻にクラクラするほど圧倒されました! 

 物語は16世紀フランス、ヴァロア王朝の支配下、旧教徒カトリックと清教徒ユグノーの争いが激化していた時代。 時の国王シャルル9世の妹マルグリット・ド・ヴァロアことマルゴは二つの勢力を和解させるために、ユグノー派のまた従兄弟ナヴァール公アンリと政略結婚することになります。

 とにかく、冒頭の大聖堂の婚礼式にしても、王と貴族たちのイノシシ狩りにしても、場面場面がバロック絵画のように力強く躍動感あふれ、また打楽器や笛の音が印象に残るエキゾチックな音楽もクセになりそうなほど素晴らしかったです~! 監督のパトリス・シェローは、舞台監督として有名な人だそうで、だから劇的な空間作りがこんなに巧みなんですね。

 印象に残る場面は多々あるなか、一番衝撃的だったのは、前半のクライマックスと言うべき、凄惨を極める聖ヴァーソロミューの大虐殺でした。 宗派の違いというだけで、まるで動物を屠殺するように人間が同じ人間をいとも簡単殺すという恐ろしさ・・・! この容赦ない残酷描写は絶対映画史上に残る名場面と思います。 殺された人々の累々たる死体の山は、まるで悪夢のように脳裏に焼きついて決して離れません。 

 それにしても、ヒロイン、マルゴ役のイザベル・アジャーニの美しいこと! 夜の闇のような漆黒の髪、アラバスターの肌、宝石のような青灰色の瞳・・・まさに「ヴァロアの真珠」とうたわれたマルゴそのものでした。 そのうったえかけるような美しい目で見つめられると、同じ女の身でも思わずグラッときてしまいます。 アジャーニはその昔、『アデルの恋の物語』を見て以来夢中になった女優さんでしたが、今回あたらめてそのファムファタル的美しさに魅せられました。

 一見淫蕩で不道徳な女性に見えながら、その実優しく温かい心を持っていたマルゴ。  ドロドロと退廃的な一族のなかにあって、唯一生き生きとした人間的な魅力にあふれていました。 ユグノーの貴族ラ・モールとの恋は絵に描いたような美男美女の外見もさることながら、孤独な魂が半身を求めて惹かれあう切なさにうっとり陶酔しました。

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 ラ・モールの「もし僕が死んだら、貴女はこの首を大切にもっていてくださいますか?」というセリフは本当ぐっと来ます~>< 実際、その不吉な言葉通りに、彼は王族の陰謀に巻き込まれ無実の罪で処刑され、涙ながらにマルゴが彼の首を抱えることになるんですよね~ああ、何たる壮絶なFatal Love

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 アジャーニの熱演以上に印象に残ったのは、シャルル9世、マルゴの兄です。 ジャン・ユーグ・アングラートは細面の端正な顔で、幼児性丸出しの行動をとったかと思うと、本来の高貴な王の顔に戻ったり、怪物のような母カトリーヌ・ド・メディシスの精神的支配に苦しむ、心の均衡を失った病的な王様を生々しく熱演していました。

 彼は、妹マルゴに寄せる近親相姦的な偏愛と、命の恩人である妹の夫、ナヴァール公との友情との間で揺れる心が切なくて、結局は、実の母の陰謀が巡り巡って彼を殺し、血の汗を流しながら非業の死を遂げるという最期はとにかく哀れで涙が出ました。 

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 そして、その諸悪の根源とでも言うべき ほとんど魔女か妖怪かという面構えの母カトリーヌ・ド・メディシス、背筋が凍るほど迫力満点でした!  ヴィルナ・リージはこの役でカンヌ映画祭助演女優賞を獲得したと言うことですが、夫の喪に服した黒いドレスの上に蒼白い顔をのぞかせる様はまるでルーブル宮にさまよう幽霊のようで、ヴァロアの血筋に執着する怨念の母を見事に演じきっていました。

 
 しかし、カトリーヌと言えば、あのフィレンツェの名家メディチ家の出なのですよね☆ メディチといえば銀行家で知られていますが、元々は丸薬を扱う薬屋でした。 そして、薬と言えば、毒薬も!というわけで、ボルジア家~ではないですが、この映画では、彼女の最大の武器、毒薬が大活躍していました。 わ~もう~恐ろしいっ!

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 そして、カトリーヌの最愛の息子、次男のアンジュー公、後のフランス王アンリ3世は、兄弟のなかでは武勇の誉れも高く一番の美男と言うことですが・・・冷酷で傲慢不遜で母親としょっちゅう抱き合ったりキスしたり、ベタベタしているところは、ここも近親相姦?と思えるほど気持ちが悪かったです。 

 しかし、↑右のギース公(マルゴの元愛人)といい、絵には描きませんでしたが、マルゴの弟アランソン公もともに美男で、ユグノー側も、マルゴの夫、ナヴァール公アンリはさすがにいい男と言えませんが、彼の従者や同士も美男ぞろいで、マルゴの周りはイケメンだらけ言うところもよかったです~笑

 それにしても、最後、兄のシャルル9世が崩御した悲しみの涙も乾かぬ間に、戦地から颯爽と帰還したアンジュー公に向けて「新国王アンリ3世万歳!」という祝福の声が響き渡る瞬間の無常感! いつの世でも、権力の移り変わりはかくも冷酷に描かれるものとため息が出ました。


 このところ、15世紀イタリア~16世紀イギリス~とルネッサンスづいていましたが、フランスルネッサンスは盲点でしたね~ ルネッサンスは、人間の目を背けたくなるような本能的な獣性と理性と知性を重んじるヒューマニズムのせめぎあいが本当ドラマチックで面白いです☆

 と言うことで、また関連本も色々読んでいます。
 
王妃マルゴ

王妃マルゴ

  • 作者: アレクサンドル デュマ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1994/12
  • メディア: 単行本


 抄訳ですが、あの『三銃士』で知られるデュマ作の映画の原作本です。 まだほんの冒頭しか読んでいませんが、補足として本文の間に挟みこまれる訳者の鹿島さんのコラムが面白くて、当時の歴史や風俗を知る雑学として読むことも出来ます。

 しかし、さすがにマルゴとラ・モールの出会いとかは宮殿の中で割合普通ですね~映画では、マルゴが仮面をつけて夜の街を男漁りに出かけたときに出会ってイキナリ深い仲になっていましたけど^^;

 そして、きっかけとなったこのマンガももちろん面白かったです~☆

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)

  • 作者: 萩尾 望都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/01/25
  • メディア: コミック


 萩尾さんにしては絵がシンプルなところは少し物足りない気はしますが、慣れてくると、当時の風俗がトランプの絵のようで、おとぎ話を読むように楽しくなってきます。 6歳から描かれた少女時代のマルゴは明るく生き生きしていて、ちょっと初期の萩尾さんのマンガを思い出しますね。 池田理代子さんとの対談で、今まで避けてきた「性」を描きたいと対談で言われていましたが、その点ではこれからが楽しみ♪ 思春期を迎えたマルゴが早く見てみたいです☆

追記: イザベル・アジャーニのイラストをトップに追加しました。 彼女は、とにかく描くのが難しくて・・・思い入れがあるだけに四苦八苦しました~>< (2/12 PM:16:30)


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